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2007/07/22

目から鱗の新書三選

最近、新書が熱いです。
いえ、世間一般でどうなのかは知りませんけれど、少なくとも自分のなかで流行してます。
といっても、数えてみたら1ヶ月強で6冊なんで、言う程読んでませんが(苦笑)。
自分は多少天の邪鬼なので、普段はベストセラーはなるべく手に取らない主義なのですが……近ごろ本屋で平積みされている新書って奴はタイトルからして読書欲を『そそる』ものが多いので、気がついたら購入していたりします。
おかげで未だにスーツ着用していたり。
なんでスーツかというと、大きいポケットが複数有るから。
主に会社の行き帰りや、出張の移動時間を利用して読んでいるわけですが、読みたいと思ったときにさっと取り出したいですからね。
クールビズってなんですか?
これで中身がつまらなかったら笑い話にもなりませんが、これがまた悔しいことに(?)少なくとも下の三冊は私的にすごく面白かったです。
面白くてためになる……かどうかは今後の展開しだいではありますけれど、三冊ともに、ちょっと時間を置いてから読み返してみて、要点をまとめて、出来れば実生活や仕事面で活用してみたいな、と思わせる力はありました。
思わず何事かと思うような、うまいタイトルですよね。
数字を入れていないのは、わざとですか?(笑)
読み終えた後で思わず下巻を捜し回ってしまったのですが、まだ出ていませんよね?
前作(さおだけ屋)とネタが被っているところもありますが、こちらは前作よりも即効性がありそうですし、読み物としても楽しく読めます。
自分は経済なんか近寄りたくもない、新聞の株式欄をみるだけで吐気を催す程に、数字が苦手な人間(算盤をやっていたので計算という行為自体には抵抗はありませんが、それと『数字がうまい』のとはまた異なる話)。
とはいえ、一応理系だったこともあって、数字を入れておくことで妙な説得力を出せる、というのは"なんとなく"わかってはいて、それを無意識に利用していたこともあったように思えます。
そういう漠然とした感覚をより一歩進めて、さまざまな場面で数字の意味が掴めるようになったり、意識的にさまざまな意味を持たせて使えるようになる、場面に応じて最適な数字を探して使い分ける……読んだ人の8割くらいは、そういった『数字のうまい人』への道が見えた気にさせられるのじゃないかと思わせる、数字(数学にアラズ)の入門書です。
あ、そうそう、巻末に『ミニミニ会計セミナー』と題したおまけがついています。
自分は本の巻末を先に見てみる人なので、読み出す前にこれが目についたのですよ。
で、『3分でわかる「貸借対照表」』となっているのですが、その表をちらっと見ただけで、「やめやめっ!」と見なかったことにして最初に戻ったんですね。
ところが、通して読み終えてから、改めてこちらを見てみたところ……なんとなく、わかったような気になるではありませんか。
ま、わかった気になったのは5割くらいは錯覚だと思うんですが、それでも最初は見るのも嫌だったのがとりあえず見てみるか、という気にさせるだけでも、随分、数字に対する苦手意識が目減りしたのでは?とも思うのです。
あ、そうそう、自分は1時間では読めませんでした。2時間近くかかったんじゃないかな?
これもタイトル買いしたもの。
なにせ買った後で読む段になって、漫才師の紳助さんが書かれたのを知ったという(苦笑)。
そのくせ、タイトルの元ネタは本文中ではなかなか出てきません。章タイトルにすらなっていないという(笑)。
まぁ、タイトルは掴みで、副題が本題と思っておいた方がよいと思います。
読んでみれば解りますが、『タレントのサイド・ビジネス』という言葉から想像される(典型的には、一時期盛り上がった後すぐに廃れるタレントショップの類の)ものとは、完全に一線を画したもの。
紳助さんにとっては本業はタレントであり、飲食業を初めとする経営はあくまでサイド・ビジネス。
それでありながら、いやサイドビジネスだからこそ、成功させなければ意味がない。その道のプロの経営に引けを取らない、むしろ凌駕する結果を残している。『100%』成功している、と言い切る。その根拠はなんでしょうか。
まさに目の前で一流の公演(いや、やはりここは特上の漫才か)を聞いているかの如く読み進められる『ビジネス書』です。
……常識にとらわれていたら、成功する店は作れない。
 なぜなら、その常識は、失敗している店の常識だからだ。……本当に成功しているのは100軒のうちの1軒なのだ。
世の中には99%の"失敗している"店が作った"常識"で溢れている、と一刀両断。
では非常識なアイデアだけで成功するのか?もちろんそんなことはありません。
データ集めと分析を行っている下りは、上で紹介した『食い逃げ』で書かれていることと、共通点が多々有ります。
何事も興味を持ってみていればアイデアなんて湧いてくる、と。それを思いつきだけで終わらず、冷静な目で見て考えて判断した裏付けが必ずあること、実行力が備わっていること。
なんというか、本当に天才や、すごい人や、と感じるのですが。まなざしが羨望へと変わった頃を見計らったかのように、
「紳助さんに憧れてます。紳助さんみたいになりたいんです」
……
 僕はいつもこう言い返す。
「俺はもうおるで」
そうそう、ご本人も自ら『涙もろい』と書かれているとおり、読んでいて、非常にシビアでクールな面と、寂しがり屋で情に厚いという相反する面が不思議な折り合いを付けて同居しているように思えました。ときには感傷的とも取れるような表現も随所に見られます。そういう意味でも、常識外れの"ビジネス書"でありましょう。
『ロマンチックなビジネス書』なんてあなた、そうそう読めないですよ?
いろんな会社で念仏のように唱えられる「コスト削減」の号令。
どうしても暗いイメージがつきまといがちな「コスト削減」という言葉ですが、それがそもそも誤解であること。
本来は非常に前向きで、職場が活性化され『筋肉質な会社』へと生まれ変わる可能性を秘めた企業戦略であることがだんだんとわかってきます。
まさに目から鱗、会社の経営陣から現場まで、あまねく読む価値のある一冊だと感じました。
コスト削減のPDCAサイクル(Plan→Do→Check→Act→...というおなじみのサイクル)、これの話を聴くだけでうわー面倒そう、と感じるのは自分だけではないはず。
ですが、この本を読み進めるに従って、『丼勘定でいいじゃん細かいこというなよ』『コスト管理とかまで自分じゃやりたくないよ、正直』というような会計・経営オンチの不良社員(私だ)でも、いろいろと考えるところが出てくるのではないかと思います。
面白いことに、上で紹介した2冊と通じるところが随所に出てくるんですよ。
『食い逃げ』には、「数字をありのままにみる」という考え方が出てきて、節約は割合ではなくて金額の絶対値で考える(100円のペンに目くじら立てるより、得意先相手の何十万の値引するの方が大問題)、という下りがありますが、これは本書でも述べられている、節約の優先順を考慮するためには重要な考え方だと思いますし、『大盛り』にもコストに関する考え方が随所に述べられていました。
考えてみれば三冊ともビジネスに関する書物なので共通するところがあって当然なのですが、そもそもビジネス書なんぞついぞ読んだことがない当方には興味深いことでした。
この本はあくまで『コスト削減』ということなので、読む側としてはお金に主眼が置いて見てしまいますが、これを時間に置換えて(というか、時間もコストのひとつですよね)、時間の有効活用の観点から考えてみるのも有益だと思いました。
1年分でよいので、具体的な仕事内容とそれに要した時間の関係を、社員ひとりひとりの詳細な目に見えるデータとして洗い出し、どういった作業に時間的なコストがかかっているのか、異常に時間がかかっている仕事はないか、どうすれば改善できるのか、といった分析を行って改善計画を立てる、というのは、経験と言う名の勘や感覚に頼って仕事をしている現状の改善にならないか、といったことをちょっと真面目に具体的に考えたくなってきました。

本の感想を言ったり書いたりするのが極めて苦手な自分にしては、長いエントリとなりましたが、要はそれだけ自分にとって面白かったということ。
軽い気持ちで手にとってみるのも、いいかもしれませんよ?

ちなみに、ひと月強で読んだ6冊のうちの残りの3冊は、
早坂 隆 『世界の日本人ジョーク集』(中央公論新社)
でした。
上の三冊程ではないものの、それぞれそれなりに興味深かったり楽しめる内容だったと思います。
自分としては外れを引いてないということでもあり、なかなかの充実感。
現在、スーツのポッケに入ってる未読本は以下の2冊。
門倉 貴史 『ホワイトカラーは給料ドロボーか?』(光文社)
竹内 一郎 『人は見た目が9割 (新潮新書)』(新潮社)
はてさて。

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