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2014/03/07

あれはいわば採用試験だったわけか…なにが課題になるかわからないものだな。

かなり記憶があいまいなのだが、確か小学校か中学校のときの国語だか道徳だかの教科書に次のような話が載っていた。
寺の住職が小坊主に、境内の掃除を言いつける。
小坊主が一生懸命掃除をしても、住職は駄目だやり直しだと繰り返すばかり。
音を上げた小坊主が、
「落ち葉ひとつなくなるまで掃いたし、石灯籠は三回も磨いた。これ以上どうすればいいのか」と尋ねたところ、住職は
「仕方のない奴だ」
といいつつ境内に出て、木を揺らして落ち葉を幾枚か散らす。
「美しさというのは自然との調和があってこそだ」
といった粗筋だったように思う。
細かい内容は忘れてしまっているが。
読んだ当時は、
「そういう見方もありといえばありか…でも報告一回目に教えてやればいいのに、意地悪だなぁ。『仕方のない奴だ』という台詞、いかにも『お前が自分で気づくのを待っておったのだが…』という含みがあって、鼻につく」
という感想を抱いたような気がする。
先ほどふと思い出した上記の話に、元ネタはあるのかな…と思って検索をかけてみると…

塵一つない庭にて

 利休は茶の湯を堺の武野紹鴎に学んだ。紹鴎は利休の才を試そうと思い、庭の掃除を命じた。利休が庭に行ってみると、茶室の前は拭うがごとく、塵一つない。利休は戸惑ったが、意を決して新緑が滴る林に入り、木の1本を揺らした。すると落ち葉が風に舞い、片々と地に落ち、さらに一段の風趣を添えた。紹鴎はこれを見て、利休の奇才ぶりに感じ入り、茶の湯の秘訣をことごとく、熱心に授けたのであった。(近古史談)

[千利休]美を知り、人を知る逸話 | 生き方 | PHPビジネスオンライン 衆知|PHP研究所
のように、大槻磐渓著「近古史談」にそれらしい逸話が載っているようだ。配役としては、『住職:武野紹鴎、小坊主:利休」になるだろうか。
ただし、微妙なずれがある。
件の小坊主と違い、利休は自力で気が付いたことから、才能を認められている。すなわち、利休は“採用試験”に合格したということなのだろう。
それで、小坊主の方は(採用試験だったとするなら)住職に認められず、不遇をかこつことになったのかもしれない。
いやはや、人生どこでどんな風に試されるかわからないものである。
まぁ、こういう『偉人の若かりし頃の話』は後のイメージを元に創作されることも多いので、本当にこういう事実があったかどうかはわからないが。
教科書に載っていた逸話が本当に「近古史談」を元にしているのか、それとも別の元ネタがあるのか、さらに元ネタがあったとして、それは「近古史談」の前なのか後なのか、後だとすると、話の中の住職は利休の逸話を知っていて(自分も読んで初めて気づいたくせに)ドヤ顔していたのか、などといろいろ想像していたら日が変わってしまった。

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